REGION · 産地
アイルランド
Ireland / あいるらんど / 読了 3分
In a word — ひとことで言うと
北アイルランドを含むアイルランド島全体の産地です。3回蒸留が多いことや、大麦麦芽と未発芽の大麦を合わせる「ポットスチル」という独自の区分で知られます。
Quick 3 — 3秒でわかる
- 島全体が産地
- 3回蒸留が多い
- 未発芽大麦も使う
Map — 地域をえらぶ
ミドルトンやクーリーなど、主要な蒸留所が集まります。
地図: Natural Earth(パブリックドメイン)のデータをもとに作成
Taste map — 地域ごとの味の傾向
| 地域 | 甘さ | スモーキー | 華やか |
|---|---|---|---|
| アイルランド共和国 | |||
| 北アイルランド |
丸の大きさ=傾向の強さ(一般的な傾向。例外も多い)
Distilleries — アイルランドの蒸留所
Tasted — この国で飲んだ銘柄
Body — くわしく
どんな産地?
アイリッシュウイスキーは、アイルランド島で造られるウイスキーです。島にはアイルランド共和国と、イギリス領の北アイルランドがあります。法律上の定義は、この島全体を対象にしています。島の北と南、どちらで造っても同じ条件で「アイリッシュ」と名乗れます。
つづりは「Whiskey」と e を入れるのが一般的です。ただし定義の正式名は「Irish Whiskey / Irish Whisky」で、e のないつづりも認められています。
法律で決まっていること
アイルランドの法律「Irish Whiskey Act 1980」と、地理的表示のための技術文書(technical file)が、主な条件を決めています。要点は次のとおりです。
- アイルランド島で、麦芽を含む穀物から造り、島内で蒸留する
- 麦芽の酵素で糖化し、酵母で発酵させる
- アルコール度数94.8%未満で蒸留する
- 容量700リットル以下の木樽で、島内で3年以上熟成する
- アルコール度数は40%以上
- 加えてよいのは水とカラメルだけ
さらに、次の4つの区分があります。
- ポットスチル:大麦麦芽と未発芽の大麦をそれぞれ30%以上使い、単式蒸留器で造ります。ほかの穀物は5%まで加えられます。
- モルト:大麦麦芽だけを使い、単式蒸留器で造ります。
- グレーン:麦芽は30%以下で、トウモロコシや小麦などを使います。連続式蒸留器で造ります。
- ブレンデッド:上の3つのうち2つ以上を混ぜたものです。
ラベルに「Pot Still」や「Malt」「Grain」「Blended」とあれば、どの区分かが分かります。どれも、上の共通の条件を満たしたうえでの区分です。
製法と味の傾向
アイルランドでは、3回蒸留が伝統的によく行われます。ただし法律上の義務ではなく、2回蒸留も認められています。
グレーンの区分は、連続式蒸留器で造ります。アイルランドの元収税官イーニアス・コフィーは、1830年に連続式蒸留器の特許を出願し、1831年に取得しました。
未発芽の大麦を使う「ポットスチル」は、アイルランドならではの区分です。この点がモルトウイスキーとの違いになります。
歴史のポイント
19世紀前半、アイルランドの蒸留業者は大きく増えました。技術文書によると、1823年の40から1840年には86になっています。しかし20世紀に入ると、戦争による原料の不足や、アメリカの禁酒法による輸出先の喪失などで、長く落ち込みました。1953年には、島で残る蒸留所は6カ所でした。
1966年、共和国に残っていたジョン・ジェムソン、ジョン・パワー、コーク・ディスティラリーズの3社が合併し、アイリッシュ・ディスティラーズが生まれます。1970年代には北アイルランドのブッシュミルズも加わりました。1975年、コーク州ミドルトンに新しい蒸留所ができ、ダブリンなどの古い蒸留所の生産はここに移されました。こうして、島で稼働する蒸留所はブッシュミルズとミドルトンの2カ所になりました。
1987年には、独立したクーリー蒸留所が設立されました。その後、新しい蒸留所が各地に生まれ、蒸留所の数は大きく増えています。
代表的な蒸留所と銘柄
- ミドルトン蒸留所(コーク州):ジェムソン、パワーズ、レッドブレストなど
- オールド・ブッシュミルズ蒸留所(北アイルランド):ブッシュミルズ。ラベルの「1608」は、この地域に蒸留の免許が与えられた年です。蒸留所を運営する会社ができたのは1784年とされます。
- クーリー蒸留所(ラウス州、1987年設立):100年以上ぶりの独立系の蒸留所とされます。
- ティーリング、タラモアD.E.W.などの銘柄も知られています。
Data — 基本データ
- 国・地域
- アイルランド島(アイルランド共和国と北アイルランド)
- 主な原料
- 大麦麦芽、未発芽の大麦。グレーンにはトウモロコシや小麦なども使う
- 法律上の定義の要点
- Irish Whiskey Act 1980 と地理的表示の技術文書(technical file)。島内で94.8%未満で蒸留し、700L以下の木樽で島内3年以上熟成。度数40%以上。加えてよいのは水とカラメルのみ
- 主な地域
- アイルランド共和国、北アイルランド
- 代表的な蒸留所・銘柄
- ミドルトン(ジェムソン、レッドブレスト)、オールド・ブッシュミルズ、クーリー、ティーリング、タラモアD.E.W.
- 味の傾向
- 3回蒸留が伝統的に多い。ポットスチル・ウイスキーは未発芽大麦を使う点が特徴
FAQ — よくある質問
アイルランドのよくある質問
アイリッシュウイスキーは必ず3回蒸留?
いいえ。3回蒸留はよく行われていますが、法律で決められているわけではありません。2回蒸留も認められています。
「ポットスチル・アイリッシュウイスキー」とは?
大麦麦芽と未発芽の大麦をそれぞれ30%以上使い、単式蒸留器で造るウイスキーです。ほかの穀物は5%まで加えられます。
北アイルランドで造ったものもアイリッシュ?
はい。定義はアイルランド島全体を対象にしているので、北アイルランドで造ったものも含まれます。
Quiz — 理解度チェック
1 / 2アイリッシュウイスキーの最低熟成年数は?
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